明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.2 -

この不景気こそ
技術と人材に投資をするチャンス


 デフレ不況下、企業のトップマネジメントは節約モードに切り替えて、支出を切りつめることが最優先である.

 しかし、この不況こそチャンスとして新しい試みをしている威勢のよい中小企業もある.

 愛知県、豊橋市にある「樹研工業」は、プラスチックの極小歯車部品を製作しているメーカーで有名である.
それだけでなく、その精密部品を成形加工するコンピュータ制御の小型成形機を内製化し、国内外に販売しているすごい中小企業である.

 この樹研工業の経営者松浦元男氏は100万分の1g(0.1489mm)という超小型歯車を作って世間を驚かせた.

 私も松浦元男社長にフィルム缶の大きさの透明容器に100個入った歯車を見せてもらったが、肉眼では判別できず、虫めがねでようやく歯車らしい極々小のモノが見えて納得した.

 松浦元男社長の話では、「今のところは用途がない製品であるが、数年か、あるいは数十年先、これらのパーツが必要となる時に備えて、オンリーワン、ナンバーワンの技術を磨いた」という.

 この100万分の1gの超々小型歯車がテレビで紹介されてから、あちらこちらから問い合わせがあり、「こんな部品を作れないか」「こんな部品を注文したい」と、新規顧客開拓ができたそうである.

 この樹研工業の松浦元男社長は、一見、ムダなように見えるが、明日の技術のために投資をされている.
また、人材の育成のためにも1年間かけて現場技術を教え込まれている.
 同社の優れた技術者たちは、すべて工業高校卒業生である.
松浦元男社長は現場で加工技術や研磨技術を身体で覚えさせ、明日を担う技術者たちを自社で生み出すという人材投資をされている.
(2003.7.10 長谷川好宏)
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中小企業診断士 長谷川 好宏