明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.5 -

新年にあたって


 新年おめでとうございます。
 元旦早々に、ある進学塾の経営者から「組織のメンバー全員が一つの目標に燃えることはあり得るのですか」と質問を受けた.
この経営者は小さな塾から昨年は、5階建てのビルを阪神間の私鉄沿線に計画し、現在、建築中である.
この不況でありながら立派である.
昔から言われるように不況こそチャンスである。

 現在の日本経済は日銀短観を見れば、上昇値で明るい兆しが見えるが、ここ関西では不況真っ只中である.
財を築く事業家は、不況の時に事業を拡張すると言われるような離れ業は関西では期待しがたい.
しかし、今は不況業種であっても元気な企業が輩出してきている.

 印刷業種は不況対象業種の一つであるが、大阪の某中小印刷会社は工場拡張のための土地を手当てし、今春、設備の増強に踏み出される.
この違いは何であろうか.
 はっきり申し上げてそれは、差別化戦略である.
他の印刷会社とはことなる顧客の確保、No.1の技術を保有するからである.

 中小企業は、持てる経営資源を一点集中主義で、No.1を創りあげるのが戦略である.
それは商品であり、技術であり、販路であり、顧客であり、地域である.
これが成功の秘訣である.

 最初に、元旦早々と申し上げたが、私の家族は毎年元旦には教会の礼拝に出る慣わしがある.
そこで、1年の目標を聖書の言葉から頂くようにし、今年の決意を確かにし、年初の目標を明確にする.
この元旦礼拝の後、出席した者や家族が互いに挨拶や交歓するのであるが、その席上で学習塾の経営者から経営の話に弾み、冒頭の質問をうけたのである.

「組織のメンバー全員が一つの目標に燃えることはあり得るのですか」という質問にたいして、「あり得ます」とお答えした.
元気な企業は、会社のビジョンが経営者から全員に語られ、組織のミッション(何のためにこの組織は存在するかという使命感に貫かれた明確な目標がある)が徹底されていることである.

 メンバー全員が一つの目標に燃えるには、このミッションがあることである.
同時に、その目標が実践されるように、管理者、社員一人一人にいたるまで、役割分担と責任権限が委譲されて、組織表にもそのことが表されている.
そして、一人一人の社員に活動の場を与えることである.

 中小企業では、経営者が全て見通しできる位置にあって口出し易いが、社員が「経営者ならこのように行動する」という意識を持って代行しているなら、重箱の隅をつつくような采配は辞めることである.
むしろ、目標の完遂には厳しく接することである.

 経営者は明確な経営理念の基に、社員に対してミッションを明確にしているだろうか.
優れた経営者とは、ビジョンを持ち、社員が共鳴するミッションを明らかにし、その達成したあかつきの栄冠という賞を設けて動機付けている人である.

今年1年、365日、経営者の指揮のもとに全社員が「空を打つ拳闘をしない」で、自分の目標を達成した栄冠という「賞を得るために、目標を目指してひたすら走る」事である.
これこそ、新年に当って、経営者も全社員もなすべきことである.

(2004.1.5 長谷川好宏)
バックナンバー >>

ウイズダムマネジメントのサービス&商品のご紹介
組織を強くするのは「人」です  人材の育成に


(C) Copyright Wisdom Management HASEGAWA yoshihiro All rights Reserved

株式会社
ウイズダムマネジメント
中小企業診断士 長谷川 好宏