ウイズダムマネジメント

明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.28 -

管理職を育成・教育せよ

 経営者の想いを理解し、経営者の代行を行うのが管理者です。
管理者を選任するとき、経営者は自分との相性や経験年数といった事柄を優先して考慮する場合が多いですが、本来、その人物の賜物と遂行力を勘案し、組織の維持と発展を考えて選任すべきです。
そうすると、管理者は必ずしも経営者の「Yesマン」ではいけません。組織の充実と発展のためには「No!」とも言える人でなければなりません。

 1.中長期経営計画で管理者を育成する
 発明家のトーマス・エジソン(1847〜1931)は自分の発明をビジネスにするため会社を設立し、電話器、電気機関車、白熱電球などを世に出しました。しかし、エジソンの会社は消滅していきます。エジソンは優れた製品を開発しましたが、開発に専念している自分の代わりに事業を遂行する管理者を育成していなかったのです。

優秀な管理者は企業において必須ですが、すぐに確保できるものでもありません。社員から育成していくにも時間がかかります。
中小企業では管理者候補として育成しても7年〜10年はかかっているのが現状です。優秀な管理者が在籍する企業とするには中長期的な視点をもっておくことが必要です。

 2.未来組織図を画く
 経営者は、自分の会社の「組織図」を自ら書いてください。現状のありのままの姿を組織図として書くのです。営業は誰か、製造は誰か、仕入れは誰か、総務課は、経理は誰か、これは「現状の組織図」です。

 次に、3〜5年後の「組織図」を書きます。組織の機能としての部署は何が必要か、管理者として必要な人材はどの部署か等、新たな用紙に換えて書き込みます。これは、「未来の組織図」です。

 この2つの組織図を書き比較します。「現状組織図」と「未来組織図」を比べると、ギャップ(差)が見えてきます。このギャップは経営者が責任を持って確保しなければならない資源です。人材であれば外部から管理者を引き抜いてくるか、社内で養成しなければなりません。
いずれにしろ、必要になってから、あわてるのでなく、3〜5年後の目標として考えておくべきです。

 3.能力のある管理者を育てる
 中小企業の支援をしていて気になるのは、組織的に欠陥が多いことです。
例えば、営業部門は会社の発展のために新しい顧客を創造しなければなりません。新規顧客の開拓です。しかし、これをせず納品ばかりしている営業の会社があります。それで今は営業が成り立っていても、将来、顧客の業績不振で共倒れになったり、市場の変化が起こってもついていけません。
また、製造部門で言えば、製品品質が最も優先されるべき事柄ですが、中小企業では少人数の生産体制のなか、注文に追われ、現場はしっちゃかめっちゃかな状態で、品質よりも納期が優先事項となっている場合があります。こうした会社に限ってクレームが多く、クレーム処理にも追われ、悪循環な環境に陥っています。

 例に挙げたような問題は、経営者に責任があることは言うまでもありません。ただ、原因としては、経営者が能力のある管理者を配置していないことにあります。言い替えれば、能力のある管理者とするために、社員を育ててこなかったのです。

 4.優秀な管理者によって組織は充実する
 エジソンの会社のように素晴らしい製品をもっていても、企業として組織が充実していなければ、経営はいつしか途絶えてしまいます。
 優秀な管理者は自然に育ってくるものではありません。経営者は、自分の代行となる管理者がどんな人物であるべきかをイメージし、その人物を実在のものとするべく、近い将来の管理者を確保し、育成しなければならないのです。
(2007.8.28 長谷川好宏)
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