明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.3 -

社員の中でエリートを育てよ


 ある社長様から相談を受けた.
「経営について相談できる幹部がいない.特に、リーダーになれる人物が幹部の中にいないので悩んでいる」
「今後、外部よりリーダーになれる人材をスカウトするのがよいのか」とのこと.

 結論として、リーダーは若手から目をかけて育てていくことが大切であり、そうした人材が見いだせない場合は、リーダーの要素を持った若手を採用して、将来の幹部社員として育成していくこと、自社にあったエリート像を描いておくことが肝要であると話した.

 一番難しいことは、どのようにエリート教育するかである.
日本の戦前の軍隊は、「兵隊から下士官までは戦いに強いが指揮官に優秀な人物がいなかった」と言われている.
それに対して欧米では「兵隊は弱いが指揮官が優秀で戦いに勝利をもたらす」という.
この違いは何か?
欧米の企業では、「エリートはエリートとして育成する」という養成のプログラムをもっていることである.

 中小企業の幹部(管理者)は、会社の発展とともに仕事に励んできた忠誠心、熟練した技能、お得意先との人間関係という得意な部分で勤続を重ねて来た人が多い.
この人たちに「リーダーシップ性を発揮せよ」と言っても無理であり、また、「もっとクリエイティブな仕事をせよ」と言っても、とまどうばかりである.
「変化の時代に対応する営業、生産の業務をやれ!」と言う方が無理であろう.
そのかわり、トップから言われたことを一所懸命に経験からやるという利点もある.

 しかし、これからの時代は20代から30代の若手を1年毎に順次教育をしていく、例えば、中小企業大学校関西校(兵庫県福崎町)の経営管理者コース(1年間、毎月5日間宿泊コース)に参加させ、戦略計画・販売・製造・人事等のマネジメントが系統的に学ばせる.
これによって、自分で情報を収集し、考えに考えて答えを出せるようになる.

 近畿、岡山、四国の中小企業で毎年1名づつ受講させて、今では工場長や営業部長という幹部社員を輩出している企業がある.
ちなみに、この中小企業大学校の経営管理コースは定員30名で毎年9月申し込みである. http://inst.jasmec.go.jp/kansai/

 中小企業こそ、経営者が目をつけた若手をOJTの実践で鍛えると同時に、理論面で思考の仕方とプランの立て方を学ばせる.
関西校のような教育機関では、同じ年代の者が集まるので、寝食を共にし、互いに動機づけられる点である.
本を余り読んだことがない、勉強は苦手な者が見違えるほどに変身する.
「鐵は熱いうちに打て!」である.

 若手からエリートを育てるか、どうかが中小企業が変化する環境の中で生き残れるかどうかの分かれ目になる.
どんなに忙しくても、たとえ余裕がなくても、後継者を含めて、エリートを育成する時代に入ったことを認識すべきである.

(2003.10.22 長谷川好宏)
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